日陰で忘れられてる落ち葉になりたい

誰にも構われたくないという矛盾

紙一重のいのち

この間まで会話をしてた人が突然倒れて救急で運ばれ手を尽くされても帰ってこなかった。

この間まで会話をしてた人が突然具合が悪くなって病院に行って何とか助かった。そのあと急変したけど持ち直して、呼吸器をつけてなんとか生きている。

この差は何なのだろう。皆一生懸命手を尽くしてくれているしどちらも本人は絶対に生きたかったはず。答えのない問題だと思う。いのちって何なんだろう。

生きているということはいずれ死ぬという事。答えなんてどこにもないけど生きていかなきゃいけない。生きられなかった人や懸命に生きている人を見るたびにそう思う。だけど生きるのってとってもしんどいな。健康な体を分けてあげられたらどれほど良かっただろう。でも出来ないから代わりに生きるのが私に出来ることなのかもしれない。惰性で生き残っててごめんなさい。死なない事を頑張ります。

かわいそう搾取

私が見捨てたら誰が助けてあげるの、かわいそうだから助けてあげなきゃ。そう思うけど見返りがあるわけではない。見捨てた罪悪感を抱えたくないから助けている。かわいそうと思うけどそれが毎日死ぬまで続く日常にあるからかわいそうよりもむかつくが上回ることの方が多い。だけど見捨てる罪悪感や己の正義や、自分の身の可愛さ、よくわからないプライドみたいなものが見捨てる選択肢に蓋をする。見捨てる選択肢の先には何もないのだけど、このかわいそうだから助けてあげなきゃという気持ちがどんどん重たくなっていく。砂を詰められたリュックを放り捨てたいのにリュックを背負ったまま足のつかない海の中を溺れながら漂うことしかできない。息をしてるだけで偉いよって自分を慰めながら。

最低の最低限

死にたいとは思わないけど、消えたいとは思う。それなりに大好きな趣味もあるけど寄生して生きているから楽しいと思ったあとふと立ち止まって何をやっているんだろうと我に返る。毎日紙一重で生きている。学生の頃は嫌な事も沢山あったけどやらなきゃいけないレールを一歩ずつ歩いていけばゴールに近づいている気がしていた。今振り返ればせっかくこなしてきたレールから外れて今はもう何を勉強していたのかさえ朧げだ。人生を棒に振るってこういうことなんだろうな。なんで生きていかなきゃいけないんだろ。でも死ぬには迷惑がかかるんだよな。皆を看取ってから線香みたいに燃え尽きて消えちゃいたいよ。あと何年先までこうやって生きていられるんだろう。寄生してる身で何を言っているのかと思われるから誰にも言わないんだけど、とにかくこれ以上迷惑をかけないように肩身を狭くして生きてる。犯罪を犯さない。人前で泣いたりしない。病気にならないように気を付ける。毎日ちゃんと生活してるフリをする。本当に最低限しかできないけど最低限を破らない事だけを守って自尊心を保っている。

毎日同じ何も進歩しないから自分がずっと過去の話しかできないことに気が付いている。そんな自分が嫌いなのに過去に触れるものを見たらあの時は……と喋り始めている。そんな醜い自分が大嫌いだ。それは別に自慢話ですらないから過去の栄光とも呼べないけど、ちゃんとした人間生活を送ってたんだという自分の自尊心を満たそうとしているんだろうな。こんなはずじゃなかったって言いたいけど、こうなったのは全部自分の選択の責任だからこんな人生になったのだって結局全部自分自身のせい。頑張りたくない。生きていたくないけど死にたくもない。草原に寝そべって誰も私を責めたてに来ないことを確認して安心したい。ただ生きて呼吸してるだけでも良いんだって言われたい。

おじいちゃんっ子

小さい頃祖父母とよく一緒に寝ていた。祖父はベッドで祖母と私は布団。祖父は私と同じ方向に頭を向けていて、祖母は私の足の方向に頭を向けて寝ていた。
遊びたいので眠りたくない私は祖父と祖母の間の布団でしりとりをしてもらった。いつも祖母が最初に返してくれなくなるので途中から私は祖父と二人でしりとりをしていた。だから私は祖父と同じ向きに頭を置いて寝ていたのかもしれない。祖父も途中で寝てしまうので私は祖父を揺さぶって続きをねだった。祖父は優しい人で怒らないのでいつも私が起こすのは祖父だけだった。

空気になりたい

声の大きな人が苦手だ。
声の大きな人は自信があって態度が大きい気がする。普通に話しかけられただけで萎縮してしまう。怒られているような気分になる。きっと私みたいにびくびくして人の顔色を窺ってハッキリモノを言えずに生きている声の小さな人間のことは嫌いなのだと思う。私も苦手です。同じですね。
やさしくて明るくて誰にも嫌われず誰にも迷惑をかけずに生きていけたらいいのに。

氷の棺

メダカが死んだ。
寒い雪の朝、メダカ鉢の氷を割ろうと外に出た。一センチの厚さの氷の中に昨年生まれた大きさのメダカが閉じ込められていた。きっと昨日死んだのだろう。死んで浮かんで夜の間に凍っていったのだろう。白くなったメダカの片目が氷の中から私をじっと見ていた。メダカをこれ以上傷つけないように氷を小さく割って取り出した。切り株の根元に穴を掘って埋めた。上手に育ててあげられなくてごめん。